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少ない水でお米を作ろう!
教育学部附属小学校×農学部

 乾いた田んぼに種もみを直接播く「乾田直播」でお米を作る取り組みが、教育学部附属小学校でスタートしました。5月16日、農学部の協力で、3年生約100人が校内の田んぼに種をまきました。

種をまく児童たち

 高台に位置する教育学部附属小学校。校舎脇に田んぼがありますが、河川から水を引くことができないため、数年前まで水道水で稲作体験を行っていました。どうしても費用がかさんでしまい、「世界一高いお米」と呼ぶ人も。そしてついに、稲作体験自体が実施されなくなりました。
 ただ、稲作体験は、植物の成長の様子や食事の大切さ、農家の皆さんの苦労...とさまざまなことを学べる機会でもあります。何とか復活させられないだろうか?教諭たちで模索する中で、3月まで農学部で教鞭を執っていた黒田久雄名誉教授と、応用生物学野の林暁嵐助教が乾田直播の研究をしていることを知ります。附属小学校から協力を依頼し、今回の取り組みが実現しました。

 種をまく前に、黒田名誉教授がお米について話します。「みんな、田植えって見たことある?苗を田んぼに植えていくよね。今日は苗、ないんです。新しい技術で、種から播きます」。そう言って、袋に入った赤い種もみを見せます。鳥などが食べないよう、薬剤でコーティングしているそうです。
 栽培の仕方やこれからスケジュールなどの説明が終わると、児童から「枯れそうになったらどうしたら良い?」「雑草と間違えて稲を抜いちゃったら?」「虫に食べられちゃったら?」と次々に質問が。ある児童が「台風を耐えられますか」と聞き、黒田名誉教授が「耐えられます」と答えると、みんな「ええー!?」ととても驚いていました。

DSC_3378r.jpg 児童たちに話をする黒田久雄名誉教授(左)と林暁嵐助教

 今回使うのは、「にじのきらめき」という品種。穂よりも稲の葉が高く育つため、「日傘を差しているようなもの」(黒田名誉教授)で、熱さに強いそうです。

 長靴を履き、種もみの薬剤に触れないよう手袋をはめたら、いよいよ種まきのスタートです!

手袋をはめて笑顔の児童

 まず紙コップを持って、林助教のところに並び、種もみをもらいます。

種もみを配る林先生

 田んぼに深さ数センチの穴を開けたら、数粒ずつ種もみを入れます。あとはこの作業の繰り返し。みんなとても真剣です!

真剣に取り組む児童

 黒田名誉教授と林助教によれば、乾田直播の場合、お米の花が咲く時期~穂が出るまでは水が必要ですが、それ以外は基本的には雨水だのみで水やりは不要。今回は稲がある程度育ったら除草のために水をためますが、それでも慣行農法と比べ水の量は約1割程度で済むそうです。研究段階ですが、うまくいけば10月頃に収穫できる見込み。林助教は「イメージする田んぼとは違うと思いますが、固定観念にとらわれず、技術の面白さを感じて欲しい」と話しました。

 途中、様子を見に来た石津美代子副校長は「成功しても失敗しても学びにつながる」とにこやか。「今お米が高いと言われますがこれだけ手間暇がかかっている中で本当に高いと言えるのか、他の教科の学びにも応用できると思います」。一般的に、稲作体験は近隣農家の協力のもと行うことが多いですが、附属小学校は校庭に田んぼがあることで「作物の成長の過程や、どういう時期に何が必要なのかがわかる」と利点を語りました。

児童たちに種のまき方を教える黒田先生

 体験を終え、鈴木り帆さんは「水がなくてもお米できるんだ!っていうのと、種が赤くてびっくりした。お米を作るのは大変だと思った。すくすく元気に、おいしいお米に育ってほしい」とわくわくした様子でした。

(取材?構成:茨城大学広報?アウトリーチ支援室)